中国製の畳と日本製の畳
畳(たたみ)は、日本の伝統的な床材として千年以上の歴史を持ち、日本人の暮らしや文化と深く結びついてきました。以下に、畳の歴史を時代ごとに整理してご紹介します。
🏯 畳の歴史:時代別の概要
1. 古代(奈良時代以前 〜 8世紀)
- 起源:畳の語源は「たたむ」=折りたたむという意味。
- 原型:現在のような床に敷き詰めるものではなく、持ち運びできる敷物として使用。
- 用途:主に貴族や神事などで、床に座る際や寝るために使用。
📝 この時代の畳は、薄い敷物で折り畳めるものであり、今の「畳床(芯材)」はありませんでした。
- 平安時代(794~1185年)
- 貴族の住居(寝殿造)で畳の使用が拡大。
- 畳は敷物や寝具としての地位を確立し、身分の高い者ほど多く使えるように。
- 常時敷くのではなく、必要なときだけ敷かれる「部分敷き」。
📍『源氏物語』や平安文学にも、畳に関する記述が見られます。
- 鎌倉・室町時代(1185~1573年)
- 武家文化の興隆とともに、畳が固定された床材として登場。
- 室町時代には、「書院造」が発展し、部屋全面に畳を敷くスタイルが誕生。
- 畳の寸法が統一され、畳の大きさで部屋の広さを示す「畳間」という考え方が登場。
📌 畳縁(たたみべり)に家紋や身分を表す模様が使われ、身分制度との関わりが明確に。
- 安土桃山〜江戸時代(1573~1868年)
- 一般武士階級や裕福な町人層にも畳が普及。
- 茶道の発展とともに、「畳敷きの茶室」や**畳の数で構成された間取り(例:四畳半)**が定着。
- 畳屋という専門職が成立し、畳の製作が本格的な職人技に。
📌 「畳割(たたみわり)」という建築法が整備され、間取り設計に畳が基準として使われるようになる。
5. 明治〜昭和時代(1868~1989年)
- 西洋建築の流入とともに椅子やフローリング文化が登場。
- それでも和室は住宅の中心としてあり、畳は一般家庭に不可欠な存在。
- 昭和中期には、機械化により畳の大量生産が可能に。
📌 畳床に稲わらだけでなく、木材チップやポリスチレンなどの素材も使われるようになる。
- 平成〜令和(1989年〜現在)
- 洋風住宅の増加に伴い、和室の数が減少。
- 一方で、和モダン住宅や旅館・飲食店などでの需要が継続。
- 現代では、カラー畳、樹脂畳、縁なし畳、ユニット畳など、デザイン性・機能性が進化。
📌 SDGsの流れにより、自然素材である「い草」の再評価も進む。
まとめ
畳は単なる床材ではなく、日本人の生活様式・精神文化・建築設計すべてに深く根付いてきた重要な伝統要素です。
現在も、「心を落ち着かせる場」「自然素材としての癒し効果」「日本らしさの象徴」として、再び注目されています。
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